閉店後の、静かな喫茶店。
棚の奥から、まるさんがひとつのお菓子を取り出しました。
「今日のお菓子は、熊本銘菓の『武者がえし』です」
そう言って、手のひらサイズのお菓子をそっと置きました。
包み紙の中央には、「武者がえし」という文字が、力強く、それでいてどこか上品に記されていました。
今夜のお菓子は、お菓子の香梅「武者がえし」。
幼い頃から馴染みのあった九州のお菓子と、学生時代にもらった熊本土産。別々に残っていた記憶が、あとからひとつにつながったお話です。
☕ この案内帖でわかること
・武者がえしとはどんなお菓子? ― 100層のパイと、なめらかな餡の味わい
・購入方法や価格の目安もまとめました
・幼い頃から馴染みのあった九州のお菓子と、友人がくれた熊本土産
どうぞ、ゆっくりお付き合いください。

武者がえし…初めて聞きました。

熊本のお菓子なんですね。包み紙の文字が印象的です。

ええ。ふと懐かしくなって、お取り寄せしようと調べていたら、思いがけない発見がありましてね。
子どもの頃、我が家にあった九州のお菓子
我が家の菓子鉢には、いつもいろいろなお菓子が入っていました。
なかでも、金色の包み紙に包まれた誉の陣太鼓(ほまれのじんだいこ)は、ひときわ印象に残っています。
陣太鼓、チロリアン、ひよこまんじゅう。
当時の私は、それらがどこの土地のお菓子なのか、考えたこともありませんでした。
ただ、ふと気づくと、我が家の菓子鉢に並んでいたのです。
それが、子どもの頃の私の記憶でした。
私自身にはほとんど記憶が残っていませんが、九州で暮らした2年間は、母にとって、どこか特別で懐かしい時間だったのかもしれません。
学生時代、友人からもらった熊本土産
武者がえしは、熊本出身の友人が帰省土産として持ってきてくれたお菓子でした。
包みを開けると、そこには見慣れた和菓子とは少し違うお菓子が入っていました。
パイのような生地で餡を包んだ姿は、当時の私にはどこか新鮮に映りました。
ひと口食べると、少しさっくりとした生地のあとから、やさしい餡の甘さが広がります。
「熊本銘菓なんだ」
その時は、熊本のお菓子として、私の記憶の中にそっと置かれたのです。
大人になって知った、小さな発見
母が好きだった誉の陣太鼓と、友人がくれた武者がえし。
私の中では、まったく別の場所に置かれていた記憶でした。
けれど大人になってから、その二つがつながっていることを知りました。
ひとつは、子どもの頃の我が家の菓子鉢にあったもの。
もうひとつは、学生時代に友人が故郷の味として渡してくれたもの。
武者がえしも、誉の陣太鼓も、実は同じ「お菓子の香梅」のお菓子だったのです。
それを知った時、遠く離れた場所に置かれていた二つの記憶が、熊本という土地を通して、そっとつながったような気がしました。
武者がえしとは
初めていただいた時に感じた、あの味わいには、理由がありました。
武者がえしは、熊本県熊本市にある老舗菓子店「お菓子の香梅」が手がける銘菓です。
その名前は、熊本城の石垣「武者返し」に由来しています。
上へ行くほど反り返りが激しくなる熊本城の石垣は、攻めてきた武者を退けるほどの難攻不落の姿から、「武者返し」と呼ばれてきました。
その名を受け継いだ武者がえしの特徴は、パイ生地となめらかな餡の組み合わせです。
生地には国産フレッシュバターが使われ、職人の手によって100層にも折り重ねられています。
中に包まれているのは、「皮剥ぎ(かわはぎ)餡」。
小豆の皮を丁寧に取り除いてから炊き上げることで、さらりとした口当たりに仕上げられた餡なのだそうです。
あの日、友人からもらった武者がえし。
包みを開いた時に広がったバターの香り。
口にした時の、少しさっくりとしたパイ生地の食感。
そのあとに続く、さらりとした餡の甘さ。
今思えば、あの時感じた味わいは、フレッシュバターを使ったパイ生地と、丁寧に作られた皮剥ぎ餡が生み出していたものだったのですね。

あっさりとした甘さと、さらりとした食感の餡が気に入っています。
こんな方へ
- 熊本や九州のお菓子に、懐かしさや興味を感じる方に
- さっくりとしたパイ生地と、さらりとした餡の組み合わせを楽しみたい方に
- 帰省土産や、大切な方への手土産を探している方に
購入方法
実店舗
熊本市内を中心とした県内の直営店のほか、阿蘇くまもと空港、熊本駅、博多駅など、九州各地の土産物店でも取り扱われています。

販売店では、誉の陣太鼓と武者がえしを中心に扱われているのだそうですよ。
オンラインショップ
お菓子の香梅の公式オンラインショップでも購入できます。
▶ お菓子の香梅 公式オンラインショップ「武者がえし」を見る
ふるさと納税
熊本県西原村のふるさと納税返礼品としても選ぶことができます。
価格の目安:5個入り983円、8個入り1,566円、10個入り1,966円、15個入り2,949円、20個入り3,932円、32個入り6,383円(税込・要最新確認)。ふるさと納税(熊本県西原村)では、15個入り14,000円の返礼品もあります。
まるさんの覚書
- 武者がえしは、熊本県熊本市の老舗菓子店「お菓子の香梅」が手がける銘菓。
- フレッシュバター100%を使用した100層のパイ生地で、小豆の皮を丁寧に取り除いて炊き上げた「皮剥ぎ餡」を包んで焼き上げたお菓子。
- 同じ「お菓子の香梅」を代表する誉の陣太鼓とは、また異なる魅力を持つ銘菓。
- 個包装で、職場や集まりへのお土産にも配りやすい。お日保ちは発送日からおよそ25日が目安(公式情報)。
- カロリーは1個あたり103kcal、アレルギー表記は卵・乳・小麦(購入時に最新表示をご確認ください)。

友人のお土産と、お母さんが好きだったお菓子が、実はどちらも同じお店のお菓子だったんですね。

別々の記憶だったものが、あとからひとつにつながるって……なんだか素敵です。

ふふ。お菓子って、不思議ですよね。遠い日の記憶を、そっと連れてきてくれることがありますから。
あとがき
自分にはほとんど残っていない、九州の記憶。
けれど、その土地への懐かしさは、母が選んだお菓子を通して、いつの間にか私の中にも残っていたのでしょう。
別々だと思っていた記憶が、あとから同じ場所につながることがある。
武者がえしは、そんなことを静かに思い出させてくれるお菓子でした。
今夜のお話は、このあたりで。
また、ゆっくりお茶でも飲みにいらしてくださいね。


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