贈り物を選ぶとき、私が大切にしていることがあります。自分がまだ味わったことのないものは、一度その味を知ってから贈りたいと思っています。美味しいと分かっているものなら、迷わず贈ることができます。
今年の夏、両親に「たねや」の涼菓詰め合わせを贈りました。
もなかや栗まんじゅう、水羊羹。どれも以前から知っている味です。
けれど、その箱の中にひとつだけ、私自身まだ知らないものがありました。長く親しんできたはずの「たねや」に、まだ出会っていないお菓子が残っていたのです。
今夜のおやつは、『たねやの涼菓詰め合わせ』のなかから『たねや寒天』。
贈る前に、まず自分で確かめておきたくなったお話です。
☕ この案内帖でわかること
・たねや寒天はどんなお菓子? ― 独特の食感の理由
・「寒天はどこも同じ」と思っていた私の思い込みが崩れたこと
・両親に贈って、電話で聞いた感想
どうぞ、よく冷えた麦茶でも片手に、ゆっくりお付き合いください。
窓の外では、夕立が上がったばかり。土の匂いが、まだうっすらと残っています。
閉店後の「喫茶と酒処 まるさん」。片づけもひと段落して、三人だけのお茶の時間が静かに始まります。
冷蔵庫から取り出されたのは、涼しげな小さな器がみっつ。

今夜のお菓子は、これです。たねやの寒天。

寒天、ですか。見るからに涼しげですね。

本当に。……あ、この包み、少し変わってますね。

ふふ、食べ方にちょっとした仕掛けがあるんですよ。……実は、これがとても美味しくてね。お二人にも、少しおすそ分けしたくなったんです。
頭の中の、美味しいものリスト
私には、頭の中に「美味しいものリスト」があります。
これまでに食べて、「これは間違いない」と確かめられたものたち。
たねやは、そのリストの中でも古株です。
ふくみ天平、栗まんじゅう、どらやき、水羊羹。
食べてから時間が経ち、細かな味の記憶は少しずつ薄れていても、「たねやのお菓子は、期待を裏切らない」という確信だけは、ずっと残っています。
先日、遠くに住む両親のことが気になって、電話をかけました。
その流れで、「何か、お茶菓子に美味しいものを送ろうと思うんだけど」と、母に相談してみたのです。
「お父さん、のどごしの良いものなら喜ぶかも」
その一言を聞いた瞬間、頭の中のリストから、たねやの涼菓がすっと浮かびました。
ただ、少し考えました。
虎屋の水羊羹は、以前すでに贈ったことがあります。
同じものを、また贈るのも悪くはありません。けれど今回は、まだ贈ったことのないものにしてみよう。そう思いました。
寒天だけは、まだ知らない味でした
水羊羹は、間違いなく美味しいと分かっていました。もなかも。
けれど、寒天だけは、実のところまだ食べたことがありませんでした。
考えてみれば、寒天をいただく機会そのものが、それほど多くありません。せいぜい年に一度、甘味処でいただくくらいです。添えられたあんこや黒蜜の味に違いを感じることはあっても、寒天そのものを意識したことは、ほとんどありませんでした。どこで食べても、大きくは変わらないもの。そんな認識でいたのです。
正直なところ、「寒天なんて、どこも似たようなものだろう」と思っていた自分もいました。
それでも、贈る前に、一度自分で確かめておきたくなりました。
よく冷やした寒天を、ひと口。
その瞬間、思わず手が止まりました。
これまでの認識とは、まったく違いました。口の中で、やさしくほどけていく。寒天が主張するのではなく、みずみずしさだけが静かに広がっていくような、初めての食感でした。
美味しい。
気づけば、答えは決まっていました。これを、両親に贈ろう。
そして、ふと思いました。のどごしの良いものを喜ぶ人への贈り物として、いつかまた思い出すお菓子になるかもしれない、と。
たねや寒天とは
さて、私が驚いたあの食感。少しだけ、その正体をお話しします。
たねやが目指したのは、「はじける食感とみずみずしさ」。
寒天が口の中でくずれる瞬間の美味しさを追い求め、こだわりを重ねて生まれた涼菓なのだそうです。
海藻から作られる寒天は、煮溶かす量や固め方によって、食感が大きく変わります。
ごろっと頬張れる、あの大きさにたどり着くまで、幾度も試作を重ねたのだといいます。
あの「すっとほどける感じ」は、偶然ではなかったのですね。
また、寒天は切った状態のままにすると、水分が抜けて弾力を失いやすいもの。
だからこそ、食べる直前に容器から取り出せるよう、あのフィルムの仕組みが考えられています。
ただ面白いだけの工夫ではなく、美味しさを最後まで届けるための仕掛けだったのです。
フィルムを両側からはがすと、仕切りが付いたまま寒天をきれいに取り出せるようになっています。
器に移したあと、別添の餡を合わせることで、ひとつのお菓子として完成します。
(公式サイトの図解を見ると、より分かりやすいと思います。)
定番は、小豆・夏みかん・黒蜜きなこの三種類。
小豆は、甘さを抑えたなめらかな餡と寒天の組み合わせ。
夏みかんは、果肉をたっぷり使ったソースの爽やかな酸味。
黒蜜きなこは、沖縄・波照間産の黒糖を使った黒蜜と、香ばしいきなこを合わせた一品です。
それぞれ販売時期が少しずつ異なり、夏みかんは初夏から盛夏、小豆は夏の終わり頃まで楽しめます。
季節によっては、抹茶や清水白桃などが登場することもあるそうです。
毎年少しずつ違う景色に出会えることも、このお菓子の魅力なのかもしれません。
涼菓を贈る
寒天を実際に味わい、両親にもぜひ食べてもらいたいと思いました。
そこで、せっかくならと、涼菓詰め合わせの候補を母にも見てもらいました。
「もなかも、食べたいな。」
母のその一言で、今回は水羊羹・寒天・もなかが入った詰め合わせにしました。
昔から甘いものが好きな父でした。
けれど、歳を重ねてからは、以前のようにお菓子を食べることは少なくなりました。
実家に、たねやのお菓子が届いた日。
「お菓子が届いたのよ」と、母が寒天をお茶うけに出してくれたそうです。
父はひと口食べて、
「寒天、おいしいなぁ」
と言ったのだとか。
そんなある日のお茶の時間。
父が、母にふと尋ねたそうです。
「あれは、まだある?」
その一言が、なんだか嬉しく残りました。
こんな場面に
- やわらかく、のどごしのよいお菓子を選びたいときに
- 暑い季節のご挨拶や、夏の贈り物に
- 贈った方に、ゆっくり楽しんでいただきたいときに
知っておきたいこと
- 季節菓子のため、通年では購入できません
- 常温で発送できます。寒天と本生羊羹は賞味期限が約2か月あり、贈り物としても予定を立てやすいお菓子です。もなかは賞味期限が約23日のため、贈る際は到着日の調整をすると安心です

贈るものは、自分が知っているものにしたい。……それが一番、安心して差し出せる気がするんですよ。
購入方法
たねやの涼菓は、複数の方法で購入できます。
オンラインショップ
たねやの公式オンラインショップで購入できます。
また、楽天市場にも公式ショップがあります。楽天ポイントを使いたい方や、普段から楽天市場をご利用の方は、こちらもご確認ください。
▶ たねや・クラブハリエ公式オンラインショップ「涼菓詰合せ」一覧はこちら
実店舗
たねやの各店舗でも購入できます。
ただし、涼菓は夏季限定商品のため、販売期間や取り扱い状況は店舗によって異なる場合があります。確実に購入したい場合は、事前に店舗へ確認すると安心です。
価格の目安:たねや寒天単品で6個入り3,564円程度、詰め合わせセットは内容によって異なります(税込・要最新確認)。
今回、私が両親に贈ったのは「涼菓詰合せ YTF5」。ふくみ天平(もなか)・本生羊羹(水羊羹)・たねや寒天が各4個ずつ入ったセットで、価格は5,400円(税込・送料無料)でした。
まるさんの覚書
- 「寒天はどこも同じ」というのは、私の思い込みだった。
- たねや寒天は、「口の中で崩れる瞬間が一番美味しくなるように」工夫された、独特の食感のお菓子。
- 季節限定の商品。常温で発送できるので贈りやすいが、もなかだけは賞味期限(約23日)が短め。贈る際は、到着日に少し気を配りたい。

贈る前に、まず自分で食べてみるんですね。

そういうところ、まるさんらしいです。

ふふ。……あの日、電話越しに聞いた『あれは、まだある?』の一言だけで、贈ってよかったと思えるんですよ。
カウンターには、空になったガラスの器がみっつ。
贈り物は、お菓子だけではなく、相手を思って選んだ時間まで、届いているのかもしれません。
あとがき
頭の中の「美味しいものリスト」は、今日もまた、少しずつ増えていきます。
寒天は、どこも同じだと思っていました。
でも、確かめてみなければ分からないことがある。
それは、贈り物を選ぶときも、きっと同じなのだと思います。
今夜のお話は、このあたりで。
また、ゆっくりお茶でも飲みにいらしてくださいね。
※本記事の情報は執筆時点のものです。価格・賞味期限・販売状況は変更になる場合があります。最新情報はたねや公式サイトにてご確認ください。


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