日が長くなりました。
閉店の頃になっても、窓の外にはまだ薄明かりが残っています。
海の方から、温かい夜風が流れてくる。コーヒーの香りと、潮の香りが、ほんの少し混ざり合う夜でした。
「聖乃志久礼」という名前のこと
「聖乃志久礼(ひじりのしぐれ)」を、ずっと探していた

今日のお菓子は、餅栗です。

もちまろん?初めて聞きました。

私も初めてです。もちまろん……いい名前ですね。

ちょっと、昔話になりますが……。
まるさんが、静かに話し出した。
「聖乃志久礼(ひじりのしぐれ)」という名前を、ずっと探していた
宮島で食べたあのお菓子の名前が、わからなかった。
やまだ屋さんというお店で買ったことは覚えていた。もちもちした生地、つぶつぶの栗餡、バターのような不思議なコク。帰ってから、また食べたくなった。
「聖乃志久礼」と書かれた包みを思い出して、やまだ屋さんの公式サイトを開いた。——ない。
検索する。ひじりのしぐれ、で調べる。——出てこない。
しばらくして、ようやくたどり着いた。「餅栗(もちまろん)」。
そうか。あのお菓子は「餅栗」だったのか。
長年の謎が、ようやく解けた。
「聖乃志久礼」は、宮島本店だけの名前だった
「聖乃志久礼」という名前は、やまだ屋さんの宮島本店でのみ使われている。一般の店舗やオンラインショップでは「餅栗(もちまろん)」として販売されており、宮島本店では独自の焼印とともに、この名前で売られているのだ。
中身は、まったく同じもの。
知らずに買って帰ったまるさんは、長い間「聖乃志久礼」という名前でしか覚えていなかった。どうりで見つからないわけだ。宮島を訪れたときだけ、この特別な名前でお目にかかれるお菓子だったのだ。
それを知ったときの、なんともいえない感覚——もう一度、宮島に行きたい気分になった。
餅栗(もちまろん)ってどんなお菓子?
和菓子なのに、バターのコクがある
餅栗の生地は、100%もち粉を使用。原材料にバターと鶏卵が入っている。これが、口に含んだときの「洋菓子のような」リッチなコクの正体だと思っている。もちもちしていて、でも重くない。
中身は栗餡。つぶつぶの栗がたっぷり詰まっている。一口ごとに、その栗の存在感がある。甘すぎず、でも甘い。バターのコクと栗の香りが、口の中で静かに対話している。
1個118kcal。コーヒーはもちろん、紅茶、日本茶、何にでも合う。そういうお菓子だ。
桐葉菓で培われた技術が、栗餡に寄り添う
桐葉菓は、やまだ屋さんの看板商品の一つ。もみじ饅頭とはまた違う、もっちりした食感で知られている。宮島を訪れたことのある人なら、一度は口にしているのではないだろうか。
もともとはお茶席の手土産として生まれたお菓子だ。中に入っているのは小豆あん。上品で控えめな甘さが、その特徴といえる。
餅栗は、その桐葉菓で培われた生地技術をベースに作られている。冷やしても固くならない、あの極上のモチモチ感。白餡ベースの栗餡との相性、焼き上がりのバランス——栗餡に寄り添うよう調整された生地だからこそ、あの食感が生まれる。
もちもちした生地の優しい甘さと、栗餡の芳醇な香り——口の中でこの2つが出会ったとき、思わず目を閉じたくなるような瞬間がある。
桐葉菓が好きな人に、一度試してほしい。おそらく——今後はどちらを選ぶかで、迷うことになる。
基本情報まとめ
【基本情報まとめ】
- 商品名:餅栗(もちまろん)
- 宮島本店限定名称:聖乃志久礼(ひじりのしぐれ)
- 価格:1個 170円(税込)
- カロリー:1個 118kcal
- 賞味期限:約6日
- 販売元:やまだ屋(広島・宮島)
- アレルギー:卵・乳
- ハラル認証:取得済み(日本銘菓の中でも数少ない認証取得商品)
どこで買える?入手方法
やまだ屋さんの餅栗は、複数の方法で購入できる。
オンラインショップ
やまだ屋さんの公式オンラインショップで購入できます。また、楽天市場・Yahoo!ショッピングのやまだ屋さん公式ストアでも取り扱われています。楽天市場で購入する場合、楽天ポイントが獲得できるため、ポイントを使いたい方にはおすすめです。
実店舗
栗餅は、銀座TAU(東京・銀座)や広島空港・ANA FESTAでも取り扱いがあります。
もしも、宮島を訪れるなら…。やまだ屋さんの本店で「聖乃志久礼」を手に入れてみるのもおすすめです。

まるさんの謎が解けて良かったですね

ずっと食べたいと思っていたお菓子ですからね。見つけた時は嬉しかったですよ。

餅栗、美味しかったです。宮島にも行ってみたくなりました。
海からの夜風が、また窓をそっと揺らした。
閉店後の喫茶まるで、3人の会話は続く。
宮島の老舗、やまだ屋さん
やまだ屋さんは、広島県宮島の老舗菓子店。創業は昭和9年。約90年の歴史の中で、宮島の銘菓として知られている。
宮島といえばもみじ饅頭、というくらい有名なお菓子だ。どこへ行っても、宮島のお土産コーナーで見かけることができる。
ただ、まるさんはこう考えている。やまだ屋さんの真骨頂は、もみじ饅頭ではなく、その次に出てくる「桐葉菓(とうようか)」と「餅栗」なのだ、と。
もみじ饅頭はいわば、宮島の顔。だが、この店で本当に出会うべきお菓子は、もっと奥の方にあるのだ。
喫茶と酒処 まるさんで食べてみた
閉店後の夜、初めての出会い

「さあ、今日は常温でいただいてみましょうか」と、まるさんが箱から3つの餅栗を取り出した。
包装を開けると、その香りがふわりと漂う。栗の甘い香りと、かすかなバターの香り。2つが一緒になった、独特の香りだ。

わあ、いい香り。
まずは一口。
まず、もちもちとした食感。舌の上で、お菓子が柔らかく溶けていく。とても上品な食べ心地だ。そして、栗餡の芳醇な甘さ。つぶつぶの栗の粒が、ちゃんと残っていて、それが香ばしい。
後から来るのが、バターのコク。和菓子のはずなのに、どこか洋菓子的な余韻が残る。その違和感が、心地よい。

あ……これ、本当に和菓子?

そこが、いいところなんです。和菓子と洋菓子の、ちょうど良い距離。
ゆきちゃんが、静かに一口。また一口。目を閉じて、その味わいを感じている。

ところで……「常温でいただく」って、どういうことですか?
まるさんが、少し微笑みながら答えた。

桐葉菓は、常温のほかに、冷やしても、軽く焼いてもおいしいと紹介されているんです。餅栗も、もちもち生地だから、きっと同じように楽しめるはずで。今日は初めてだからオーソドックスに常温から。

冷やしても、焼いても?

ええ。次は、試してみたいと思っています。
次は冷やして食べてみよう。軽く焼いて、その香ばしさも確かめてみたい——そんな想像に、まるさんはひとり、小さく心を弾ませていた。
おすすめの食べ方(常温・冷やす・焼く)
桐葉菓の公式では、3つの食べ方を紹介している。餅栗も同じもち粉生地だから、きっと同じように楽しめる。まるさんは、そう確信していた。
常温で
生地の素直なやわらかさと、栗の甘みがそのまま感じられる。はじめての一個は、まずここから。包みを開けた瞬間の香りが、一番鮮明に感じられるのも常温ならでは。
冷やして
もち粉100%の生地は、冷やしても固くならない。冷蔵庫でしっかり冷やすと、生地が少し引き締まって、また違う顔を見せてくれる。暑い季節にこそ、試してみたい食べ方だ。
軽く焼いて
トースターで軽く焼くと、表面にほんのり焼き目がつく。外側がかすかに固くなり、中はもちもちのまま——食感のコントラストが生まれる。栗の香ばしさも、いっそう引き立つ。
コーヒーとの相性
まるさんが記憶を手繰り寄せるようにして、今夜の豆を選んだ。
深煎りの、酸味をおさえた一杯。いつかこの組み合わせに行き着いてから、ずっとお気に入りだ。バターのコクには深煎りがよく合う。酸味が強いと栗餡の甘みと少し喧嘩してしまうけれど、まろやかな苦みはそっと引き立ててくれる。
まるさんの覚書
- 「聖乃志久礼(ひじりのしぐれ)」は、やまだ屋 宮島本店だけの名前。中身は「餅栗(もちまろん)」と同じ
- 銘菓・桐葉菓と同じ生地を使った、もちもち食感のお菓子。「栗好きさん」には、ぜひ試してほしい
- お茶と合わせれば和菓子に、コーヒーと合わせれば洋菓子に。両方の顔を持つ
- オンラインショップ(公式・楽天市場)で購入できる
- 1個170円(税込)。賞味期限は約6日
- ハラル認証取得済み。日本銘菓の中でも数少ない一品
- 宮島を訪れた際には、特別な焼印入り「聖乃志久礼」をぜひ

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